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日本のIoT化に大革新を起こす新通信規格。
ソニーのLPWAとは。「ELTRES™」の確かな実力。 2019.12.05

ネットワークに繋がれていなかったモノがインターネットとつながるIoTの仕組み。IoTの普及は私たちの生活を大きく変える可能性を秘めている。生活上のあらゆるものがネットワークでつながり様々な情報の収集や分析が可能になれば、我々のQOLは飛躍的に向上するはずだ。そして今、IoT界隈で注目を集めているのが、低消費電力で広範囲をカバーする「LPWA」という無線通信である。ソニーセミコンダクタソリューションズではこのLPWAの高い将来性に着目し、「ELTRES™(エルトレス)」という独自規格を開発。今年9月からは、ソニーネットワークコミュニケーションズが関東、東海、関西の主要エリアで屋外IoT向けのネットワークサービスを開始し、来年からは全国展開も予定している。ここではサービスを提供しているソニーネットワークコミュニケーションズからELTRES™ IoTネットワークサービス事業責任者の永井直紀氏に登場いただき、この独自規格の特長、そして彼らが描くIoTの未来について語ってもらった。

IoTの流れを加速させる「LPWA」とは?

そもそもLPWAという言葉自体、まだ我々にはあまり聴き慣れない言葉ですが、LPWAとはどんな特性を持った通信なのでしょうか。 LPWAというのは「Low Power Wide Area」の略で、日本では「低消費電力広域通信」などと訳されます。通信範囲や速度に明確な基準は設けられていませんが、その名の通り少量の消費電力で広域の通信が可能で、電源確保が困難な場所や、電池交換を極力少なく済ませる必要があるようなIoTの活用に適しています。

LPWAは、3G・LTEといった携帯電波やWi-Fiなどの通信規格に比べ、通信距離が長く消費電力が少ないのも利点です。その分、データの転送速度は劣りますが、通信距離が見通しで100km以上のため、携帯電話の繋がりづらいエリアでの活用も期待できます。つまり、画像を送るほどの情報量は必要ないけれど、文字列程度の簡単な情報を定量的に知りたいという時に都合の良い通信規格がLPWAなのです。

なぜ今、LPWAに注目が集まっているのでしょうか。 やはりIoTが世間に普及してきたことが大きいですね。IoT化への取り組みが増える中で大量のデバイスから小さなデータを送信することが増加し、それに応えるための通信規格が必要になってきたという背景があります。また、様々なモノがインターネットと繋がるには無線通信が不可欠になりますが、山奥や離島の周縁部のように屋外IoTの需要が高そうな場所には電気も通信電波も通っていないところが少なくありません。それに対してLPWAは電池だけで長期間使えるため、そうした場所の潜在的なニーズに合致しているという側面もありますね。

ソニー独自のLPWA「ELTRES™」の3つの特長

ソニーセミコンダクタソリューションズでは独自規格のLPWA「ELTRES™(エルトレス)」を開発し、2年前から情報発信に取り組んできました。エルトレスというネーミングにはaiboやNUROようにソニーらしいクールさを感じますが、まずはこの名前に込められた意味を教えてください。 「ELTRES™」の語源はスペイン語にあり、定冠詞の「EL」と3つを示す「TRES」を組み合わせた造語から来た名前です。この“3つ”とは「長距離安定通信」「高速移動体通信」「低電力消費」という通信方式の特長を指しています。

その3つの特長のうち、例えば「長距離安定通信」とは、どれくらいの性能を持つものなのでしょうか。 お客様にサービスを説明する際には見通し100kmを目安としてご案内しています。100kmというと東京駅から栃木県の宇都宮市までの距離です。受信機の設置位置と見通しによっては、更に長い距離の通信が可能になり、実験レベルでは見通し距離でさらに離れた旧富士山測候所から送信したデータを和歌山県の妙法山に設置した基地局で受信できる通信性能を発揮しています。

そのほか2つの特長である「高速移動体通信」と「低消費電力」 についても教えてください。 「高速移動体通信」も長距離安定通信と同様、他規格のLPWAを大きく上回る性能を有しており、時速100kmで走行中の車両からも通信が可能です。つまり、動いている電車や自動車の中からでもデータを送ることができるため、鉄道会社や運送業の企業を中心に数多くのご要望をいただいています。特に電車には電子化されていない古いパーツも多いので、そういったものに通信機能を与え、本社で一括して車内環境を把握できるのは大きなメリットになるはずです。一方の「低消費電力」については、送信頻度等の条件により異なりますが、1日1回程度のデータ送信ならばボタン電池1個で約10年間動く設計になっています。これは過疎地域を多く抱える地方自治体の人的コスト削減などに強みを発揮するはずです。

ELTRES™と他社のLPWAと比較をするとどんなところが違いますか。 これら3つの部分で圧倒的な性能を実現するために、一部の性能を削ぎ落とした「ソリッドな仕様」にしているところです。例えば、デバイスからの通信を上りに限定しているところが最も大きな違いで、その分、長距離安定通信と高速移動体通信については他社が追いつけないレベルに到達しています。

独自規格の開発はソニーのお家芸と言えますが、永井さんが感じるELTRES™の「ソニーらしさ」とはどんなところでしょう。 技術力に絶対的な自信を持つ企業として、エンジニア間の横の連携で優れたものが次々と生み出されるところがソニーの強みです。ELTRES™にも、ソニーネットワークコミュニケーションズが培ってきたネットワークビジネスのノウハウをはじめ、ソニーの様々な技術が詰め込まれています。

例えば、そのひとつが「通信の安定性」です。ELTRES™は920MHz帯というアンライセンスバンド(無線局免許を必要としない周波数帯)を使っているのですが、ここにはLoRaWAN、Sigfoxや250mWの簡易無線局など別の通信規格も共存しています。そのため混信の可能性が非常に高い状態にあるのですが、ELTRES™はLoRaWAN、Sigfoxや250mWの簡易無線と被らないチャネルを利用できますし、同じチャネルを使う他の通信システムに対しては混信除去アルゴリズムの適応やそもそも受信機の高周波部分で混信を起こしにくい回路の採用など、都市部などのノイズの多いエリアでも安定した通信が可能です。同様にセキュリティで重要な暗号化技術もソニーの高度な技術によるものです。

日本の防災にも貢献したい。ELTRES™の活用事例

今年9月にはNECネッツエスアイ、オリックスとの協業で屋外IoT向けサービス「ELTRES™ IoTネットワークサービス」を立ち上げ、関東、東海、関西の主要エリアで提供をスタートしました。既に結果が出ている活用事例があれば教えてください。 まだリリースからひと月なので、サービス自体の実績が出てくるのはこれからですが、全国各地で行っている実証実験ではモデルケースになるような事例が出ています。その中でも私が特に面白いと感じたのは、長野県で行われたアドベンチャーレースの国際大会での事例です。

アドベンチャーレースというのは、過酷な自然の中、3日間かけて250kmもの距離を走る鉄人レースです。このレースでは従来からGPSを使った選手のトラッキングが行われてきましたが、コース上には携帯電波の届かない場所も少なくなく、位置情報がリアルタイムで届かないという課題がありました。常に危険と隣り合わせの競技ゆえ、選手の正確な位置が把握できなければ、滑落の際などの救助の遅れにも繋がります。この時はELTRES™でコース全域にネットワークを張り、選手全員に送信機を装着してもらって、3分に1度、位置情報を収集するシステムを構築しました。3D画像と2D画像の両方で選手の情報を確認できるようにし、安全面の向上に寄与したのはもちろんのこと、選手を見守る方々からは「レースの臨場感が沸く」という予想外の感想もいただきました。

そのほかの活用事例のひとつが、工場などで資材の運搬に使われるパレットの管理です。パレットの中には特別重い物やガラスの運搬に使う高価なものがあるそうなのですが、それが様々なところに運ばれるうちに無くなってしまうということが課題でした。そこで一つ一つのパレットにELTRES™の送信機を取り付け、事業所の端末上で一括管理できる仕組みを作ろうとしています。

来年以降はこのサービスを全国展開されていく予定と伺っています。地方の山間部のような場所でも活用が多く見込まれますが、永井さんは今後のELTRES™にどんな可能性を感じていますか。 特に期待しているのは自然災害の防災への貢献です。今年も東日本を中心に台風が猛威を振るいましたが、日本は四季を通じて様々な災害のリスクがある災害大国です。既に実証実験では、河川の水位のモニタリングにELTRES™を活用しているケースがあり、より上流にセンサーを置けることで、より早い水位予測が可能になっています。同じく水害の備えとして、溜め池の水位測定にELTRES™を使っているケースもあります。水位の計測のみならず、気象センサーのデータ取集など、そうしたところにも価値を届けたいですね。

子供や高齢者の見守り、農業や工業の管理、防犯対策など、そのほかにも様々な活用の可能性があると思いますが、ELTRES™を成長させるには、ともにサービスを育ててくれるパートナーの存在も重要になりそうですね。 そうですね。ELTRES™は既に「ETSI(欧州電気通信標準化機構)」に国際標準規格として採択されており、今後、ソニーが世界に対して広く展開を標榜する事業です。その上で、我々としてはいろいろな企業にパートナーとして参加していただき、様々なヒントを得ながら一緒にサービスを育てていきたいと考えています。また、時にはパートナーさん同士を繋ぎ、課題を解決するソリューションを導くような役割も果たしていきたいです。

最後の質問になりますが、永井さんたちはELTRES™を通じ、IoTの普及にどんな役割を果たしていきたいと考えていますか。 これまでソニーネットワークコミュニケーションズでは固定通信事業を中心に展開してきましたが、今回のサービスは無線通信事業ということで非常に大きなチャレンジになっています。また、今までの事業に比べるとELTRES™は社会貢献的な色が強く、環境問題や高齢化対策など社会の抱える問題の解決策に繋がる可能性を秘めています。そうした意義も感じながら、LPWAの事業者の中でリーディングカンパニーの地位を築いていきたいと考えています。

なお、ソニーネットワークコミュニケーションズでは現在、「ELTRES™ IoTネットワークサービス」を活用したサービスを検討中の方々を対象にパートナープログラムを提供している。通信端末の開発や製造を行う「端末パートナー」、データを活用したアプリケーションを構築する「アプリケーションパートナー」、送信機〜アプリケーションまでのソリューション開発、構築、運用を行う「ソリューションパートナー」、他のパートナーと協業して販売代理を行う「チャネルパートナー」という4つのパートナー領域で参加者を募集している。参加者にはIoTビジネスの構築を同社が全面バックアップ。IoTを活用してビジネスやサービスを作ってみたいが、いろいろと疑問を抱えているという方は、ぜひ参加を検討してみてください。

PROFILE

永井 直紀Naoki Nagai

システムインテグレーターから通信事業者を経て、2014年にソニーネットワークコミュニケーションズ入社。固定通信サービスNURO事業に立ち上げ期から参画し、様々な部署を統括。2017年よりELTRES™ IoTネットワークサービスの立ち上げにプロジェクトマネージャーとして携わる。現在は様々なパートナーとの連携を深めてELTRES™の普及に注力している。

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