ソニーのLPWA通信規格“ELTRES”の由来 2020.12.03 通信
今回は、ELTRESというネーミングの由来について紹介します。
ELTRESの技術開発段階における社内コードは“Lfour(エルフォー)”でした。それは、この技術の目標でもあり特徴でもある
「Low PowerでLong Rangeの通信ができ、しかもLow Cost。ただしLow Bitに割り切った」
の4つのLの頭文字を取り、 “Lfour”としていました。
技術開発が進んで、いよいよ開発発表や事業化の段階になると、商標として使えるような正式名称を決めようということになりました。
正式名称を決めるにあたり、
- 読みやすい/覚えやすいように、できるだけ少ない文字数で
- 親しみやすいように韻の響きが良くて
- 斬新な/クールな名前で
- Lfourの特長やLfourで狙う世界観を感じられるように
- 全世界で商標が取れるように
と条件を設定し、開発メンバーからのアイデア募集やブレストを繰り返し、200を超えるネーミング案を考えました。でも、「これは!」という候補は、大抵は商標調査で先行事例や類似商標があり、なかなか決まりませんでした。
2017年4月の技術開発発表に名称が間に合わなかったので、しかたなく「ソニーのLPWA」で情報を公開。(これはこれで宣伝効果もあり、よかったかもと思っています。)
しかしサービス発表までには間に合わせる必要があり、名称選考はサービス発表のぎりぎりまで難航しました。
サービス発表まで残り4か月を切り、いよいよ後がなくなった頃から、ソニーネットワークコミュニケーションズの広報メンバーと一体となって、ネーミングから連想するイメージ図や、そのネーミングのストーリーを作り上げ、ほぼ毎日議論を重ねました。
開発者全員にそれぞれ想いがあるので、それをイメージで共有させながら、まずは、社内コードとしていたLfourの語感を踏襲し、音の響きとして透き通るイメージがある「エル」で始める名前にしようと決めました。
エルの綴りとして、LoRaと同じ、Lで始まるのはつまらない。検索する際に、アルファベット順で、Loraの「L」やSigfoxの「S」より先行したい。また、Loraの語源がLong Range だったら、我々はそれより絶対に長距離を飛ばすことができるので、Extremely Long Range という意味で「EL」を選びました。
ELはスペイン語で定冠詞「The」を表します。
我々の通信の特長は大きく言うと、長距離安定通信・低消費電力・高速移動に強い、の3つなので、スペイン語の3である「トレス」と組み合わせよう。
こうして、ようやくメンバーが納得するネーミングを作り上げることができました。
ELTRESは、安定に通信できるという点でRobustnessが高い、また周波数利用効率を高めて回線コストの低減を狙った、Efficiencyの高いシステムですので、
Extremely Long range Transmission using Robust and Efficient System
の頭文字でもあるのです。
こうしてELTRES(エルトレス)のネーミングは誕生しました。アクセントは日本語ではエルトレスで、トにアクセントが入る形になります。英語はĚLTRESでEにアクセントを入れる形にしました。
皆さんに末永く使って頂ける名前として、又日本初のLPWA通信規格として、我々も今後ますますの技術の向上に取り組んでいきたいと思っております。
今後ともELTRES(エルトレス)を宜しくお願いします。
最後に
ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。
【活用例】
- 物流:移動車輛の監視
- 環境モニタリング:溜池の水位監視
- インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
- 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
- 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
- スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
- IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等
「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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