Sony Network Communications Inc.

ELTRESがIoT短期間導入、全国利用を可能に 2022.04.01 通信

富山県に本社をおくインテックは、ICT技術の研究・開発からアウトソーシングまでの一貫した「ビジネス領域」をトータルソリューションとして提供しています。

近年、地域課題を解決する「IoTプラットフォーム」の実証実験を各自治体と進めています。インテックが開発した「IoTプラットフォーム」はスマートシティの情報基盤となる「都市OS」の考え方をベースとしており、その無線通信にはELTRESが採用されました。

いったいどんなソリューションなのか、インテック 行政システム事業本部 行政プロジェクト管理部の窪木顕さんにお話を伺いました。

インテックの「IoTプラットフォーム」

インテックの事業内容をご紹介ください。

窪木
富山県に本社をおく当社は、ICT技術の研究・開発からアウトソーシングまでの一貫した「ビジネス領域」をトータルソリューションとして提供させていただいており、お客さまの事業展開を支えるとともに、豊かな生活とスマートコミュニティ作りを目指しています。

私たちが在籍する行政システム事業本部は自治体ビジネス担当部門です。納税や国民健康保険などの総合行政情報システム開発と導入、またICTインフラを活用したスマートシティの構築や支援を行っています。

インテックがこのたび開発した「IoTプラットフォーム」について教えてください。

窪木
“都市OS”と呼ばれているOSS(オープンソースソフトウェア)「FIWARE(ファイウェア)」を利用したセンサー情報を収集・分析・可視化する「IoTプラットフォーム」を開発しました。その無線通信にELTRESを採用したことにより、IoT環境の短期間導入、そしてエリアを限定せずに全国での利用が可能になりました。

都市OSとは、広義には全国それぞれの“まち”にある情報を収集・分析しながら他の自治体や各種機関と連携できるサービスプラットフォームを指します。都市OSが期待される背景には2016年に公布・施行された「官民データ活用推進基本法」があり、同法では国・地方公共団体による「オープンデータの推進」が盛り込まれました。

都市OSを利用したオープンデータ推進・活用の意義を考えると、収集したデータをその事業“単独”で利用するだけではその価値が高まりません。当社開発の「IoTプラットフォーム」では、他の分野・団体が保有するオープンデータとの横断的な“組み合わせ”や“相互利用”することでデータの価値を見出す運用を想定しています。それによりスマートシティ実現に向けてのSDGsに示される社会課題の解決や、Society5.0(テクノロジーによる社会課題解決)が可能になるものと考えます。

全国カバーの通信エリア&低コスト

通信技術としてELTRESを採用した理由を教えてください。

窪木
やはりこうしたプラットフォームの無線環境を自分たちで構築・運営していこうとなると、保守も含めて多大なコストがかかります。お客様もスモールスタート、あるいは段階的な運用を求める自治体様が多いのが実情です。その点ELTRESは、自営の基地局を準備する必要がありませんし、すぐにでも導入可能です。提供エリアも拡大しており、人口が集中する都市部だけでなく全国で利用できます。

端末の開発にあたっては、初めてELTRESを利用するパートナー会社もいましたが、ソニーセミコンダクタソリューションズのバックアップもあり、特段大きな問題はありませんでした。現時点では実証実験ということで各社試作機として開発していますが、今進めている実証実験の結果を今後のデバイス開発にフィードバックし、正式な商品化を予定されています。

自治体からの反応はいかがでしたか。

窪木
IoTに対する自治体様の反応はとてもポジティブですが、コストを理由に二の足を踏まれる自治体様が多く、それは我々にとってもかねての課題でした。当社ではELTRES採用以前に他の通信規格との比較検証も行いましたが、ELTRESの全国をカバーする通信エリア、「1デバイス月額100円程度」という利用料金はインパクトが大きいです。自治体様からの印象もよかったですね。ELTRESはさまざまな面から導入しやすい無線通信技術だと思います。

水位監視、除雪業務可視化、獣害対策が可能

「IoTプラットフォーム」を活用することで、各自治体が抱えるどのような課題が解決されるのでしょうか。

窪木
本当にさまざまで「児童・高齢者の見守り」「雨量の観測」「田畑の環境監視」「各種車両のモニタリング」「盗難防止」等々、自治体様が抱える各種の地域課題に対応します。副次的効果として自治体職員の業務負荷削減や住民サービスの向上にも寄与できると考えています。現在インテックでは、各自治体様が「IoTプラットフォーム」を安価に、気軽に利用できるサービスにするため、富山県の滑川市様・南砺市様・上市町様ご協力のもと実証実験を進めています。

実証実験の内容をご紹介ください。

滑川市 河川水位監視
株式会社アイペック製の超音波式の水位計/ソーラーパネル電源供給を設置し、特に北陸特有の積雪問題の対応として省電力化の工夫を行っています。また、実績のある圧力式の水位計と比較し、性能比較・評価を行い信頼性の高い水位計に仕上げる予定です。滑川市様には、今回設置した水位計で得た水位情報だけではなく、国県管轄の河川情報や雨量データも利用し、関係性などを確認していただく予定にしています。

南砺市 除雪業務可視化
ELTRES Sensing Unit、株式会社CHRONOX製のGPSロガー及び積雪計システム(ELTRES認証済み ELTRESアダプター)を利用しています。除雪委託業者の車両にGPSデバイスを載せ、除雪業務を行い、除雪車の位置をリアルタイムに把握できるかを確認しています。

(市民問い合わせ対応や、作業進捗遅れ時の支援などを想定)

また、除雪業務を行ったエビデンスとなる情報を収集し、除雪作業後の市側の事務に利用することを想定しています。

上市町 獣害対策
北陸電気工業株式会社製の箱罠検知器を利用しています。箱罠の扉の開閉状態と焦電型赤外線センサーの検知結果を情報収集します。獣の動きや捕獲を遠隔で知ることによる箱罠管理者の負担軽減に取り組みます。また、収集した情報から獣の動き、箱罠の稼働状況や捕獲状況を可視化し、効率の良い獣害対策に役立てます。

最後に、インテックの今後の展望について教えてください。

窪木
「IoTプラットフォーム」は、さまざま分野・環境、お客様のご要望に合わせ、ELTRES以外のLPWA通信規格にも拡張できるよう設計しています。しかしサービスの仕組みとして、エリアを限定した通信では、自治体様が実現したい課題解決が制限されてしまう可能性がありますから、できるだけELTRESをお勧めしたいと思います。

今は実証実験中の段階ですが、今回の実験結果を踏まえ、パートナー会社との関係を大切にし、富山発の新たな社会課題解決のユースケースとして、全国へ発信・展開していきたいです。

株式会社インテック(https://www.intec.co.jp/別ウィンドウで開きます) 行政システム事業本部 行政プロジェクト管理部の窪木顕さん

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】

  • 物流:移動車輛の監視
  • 環境モニタリング:溜池の水位監視
  • インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
  • 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
  • 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
  • スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
  • IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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