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通信ネットワーク技術、センシング技術を活用したスマートシティの取り組み 2022.08.12 通信

スマートシティとは、簡単に要約すると、インターネットや先端技術を活用した新しい街づくりのことです。しかし、具体的にどのような技術が使われているのか、詳しくわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、スマートシティの基礎知識を実際の取り組み事例や、使われている先端技術などとともに詳しく解説します。

スマートシティとは?

スマートシティとは、現在都市が抱えている問題をIoT(Internet of Things:モノをインターネットでつなぐこと)を活用しながら、計画・整備・管理などをした上で問題を解決し、人々が住みやすい街づくりを目指すことを言います。

都市には、さまざまな業種の企業や団体があり、また多様な人々が生活しています。それ故に、都市が抱えている問題は、一つや二つではありません。

IoTを活用することによって、例えば、人手不足解消のために店舗の無人化やセルフレジなどの普及など、作業効率化ができるようになります。また、ひとり暮らしの高齢者の見守りや、ロボットによる農業・工業の自動化も可能です。

そして、水位自動監視システムやGPSを活用し、今までは人が行っていた災害発生の恐れがある箇所の監視もできるようになりました。 それにより、災害予測や復旧までの時間短縮など、災害対策効果も見込まれます。

※参考:内閣府ホームページ(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/別ウィンドウで開きます

スマートシティを実現させるために必要な最新技術

スマートシティを実現させるために必要な最新技術は、おもに「通信ネットワーク技術」、「センシング技術」、「その他の技術」の3つに分類されます。これらの技術について、詳しく解説していきます。

スマートシティを実現させる技術①「通信ネットワーク技術」

スマートシティの実現には、通信ネットワーク技術が欠かせません。身近な例でいえば、クラウド、ビッグデータ、5G通信などがあります。また、水位自動監視システムなどのモニタリングには、LPWA(低消費電力での長距離通信)が最適です。

LPWAは、最大伝送速度はおよそ100bps、伝送距離は最大約50kmと、他の通信とは異なっています。 この通信により、電力の供給が難しい場所でもモニタリングが可能になります。

スマートシティを実現させる技術②「センシング技術」

スマートシティにおけるセンシング技術とは、センサーを用いてさまざまな状態を計測して数値化する技術のことです。

数値化できるものは、温度や湿度、音の大きさや明るさなど数多くあり、あらゆるシーンで活用できます。 センシング技術には、「スマートセンシング」、「リモートセンシング」の二つがあり、それぞれ用途が異なります。

スマートセンシング
スマートセンシングとは、照度、温度、加速度といった情報を検出しさらに、数値化する処理機能が組み込まれたセンサー(スマートセンサー)によるセンシング技術の総称で、センシング技術という言葉が、スマートセンシングを指すことが多くあります。

この技術は、人の脈拍や体温などの健康管理や、建築・交通・農業などの分野での利用が期待されています。

リモートセンシング
遠隔操作やデータを計測する、「物を触らずに調べる」技術がリモートセンシングです。

スマートシティ実現に注目されているその他の技術

スマートシティ実現のためには、その他の技術にも注目が集まっています。 その中から、「AI技術」、「可視化技術」について解説します。

AI技術
AI(人工知能)とは、自ら学習する特徴を持つ、人間のような知能を搭載したコンピューターのことです。スマートシティ実現のために、AI技術も注目されています。

AIの学習機能を応用し、車の自動運転や都市の危険予測、病気の兆候を見つけるなど、さまざまな視点から状況を分析、問題を解決し、安全な暮らしを目指します。 IoTとAIが効率的に活用されることで、利便性の高まりや生活水準向上へ繋がるのです。

可視化技術
可視化技術とは、データを「見える化」することです。

さまざまな技術により集められたデータは、そのままだと、すぐに認識ができません。そのため、誰が観ても分かりやすいように、データを整える必要があるのです。

ただ単純に数値が並んでいるよりも、グラフや表になっている方が、人は直感的に情報を認識できます。また、グラフ表示などに加えて、「VR(仮想現実)」、「AR(拡張現実)」、「MR(複合現実)」などは新しい可視化技術として注目を浴びています。

これらの技術を駆使することにより、情報や物体が自分の目の前にあるかのような「体験」や、自分があたかも別の場所に存在するような「体験」ができるようになります。

各自治体のスマートシティ実現への取り組み

スマートシティ実現に向けての取り組みは、自治体でも活発になっています。どのようなことがきっかけで、各自治体がスマートシティを推進するようになったのか、事例を元にご紹介します。

「通信ネットワーク技術」を用いた取り組み事例

スマートシティにおける「通信ネットワーク技術」の事例は多くありますが、その中から、二つを紹介します。

事例①:香川県高松市・強じんなまちづくり
香川県高松市では、人口減少や災害リスクなど、さまざまな課題を解決するために、スマートシティへの取り組みを開始しました。主なサービスは、以下のとおりです。

  • 広域防災協力のため、多種多様なデータを格納
  • 共有するIoTプラットフォームの構築
  • 気象情報や河川水位などの防災情報を同一画面上に一元化
  • IoTプラットフォーム共用利用モデルを開発
  • 地域で集めたデータやサービスソフトウェアを再利用する支援

これらにより、広域連携と自治体部局の連携が生まれ、県や住民とも、自治体や住民サービス向上に関わる将来的な価値の共有ができました。

事例②:兵庫県加古川市・まちぐるみで見守る
兵庫県加古川市では、県内の平均に比べて高い犯罪発見件数と、認知症の恐れのある方の徘徊問題の解決のために、スマートシティを取り入れました。その際に行ったのが、街ぐるみで見守る情報インフラ基盤等の設備および運用です。

  • 見守りカメラの導入
  • 次世代見守りサービスの開始
  • 見守りサービスでは、複数事業者の見守りタグ(BLEタグ)が検知できる共通検知器を開発
  • 共通検知器は固定式だけでなく、かこがわアプリや移動式IoT機器(郵便車両等)も展開

運用にあたり、事前に市民に向けて細かく説明したことや、運用ルールの明確化など、市民が理解するための工夫をしたことにより、サービスは成功を収めています。

「センシング技術」を用いた取り組み事例

センシング技術は、環境問題の解決のために用いられることが多くあります。 その中から、取り組み事例を二つご紹介します。

事例①:神奈川県藤沢市・ごみ収集車による環境データの収集
神奈川県藤沢市では、ごみ収集車にセンサーを取り付けて、環境データをセンシングする仕組みを導入しました。 このセンサーで収集できるデータは、以下のとおりです。

  • 気圧
  • 湿度
  • 排気ガス
  • PM2.5
  • 紫外線
  • 温度
  • 照度
  • 加速度
  • GPS

これにより、今まで4ヶ所しか観測できなかった市の環境データが、隅々まで収集できるようになりました。 データは、IoTゲートウェイの3G通信で、慶応義塾大学のサーバーへ送信されます。

事例②:佐賀県・衛星データを防災に活用
佐賀県では、衛星データを活用し、豪雨等の水災害への対策の強化、浸水被害モニタリングの精度向上を目指し、平時および災害時での実運用に向けた実験を行いました。

その結果、今までは浸水状況検出が困難だった農耕地エリアでも、解析アルゴリズムの改良により検出精度の向上が実現しました。 これらの有用性が認められれば、衛星データを活用することによって、地域の問題解決に大きく近づくことになります。

ELTRES™ (エルトレス) IoTネットワークサービスが実現するスマートシティ

ELTRES™ IoTネットワークサービスは、ソニー独自のLPWA通信規格の通信サービスで、IoTを推進するにあたり、様々な用途に適しています。

ELTRES™ IoTネットワークサービスを活用した、スマートシティ実現に向けての取り組みも数多くございます。ここでは、ELTRES™ IoTネットワークサービスの概要と活用例をご紹介します。

※ELTRES™IoTネットワークサービスの詳細を見てみる別ウィンドウで開きます

ELTRES™ IoTネットワークサービスの概要

ELTRES™ IoTネットワークサービスは、ソニーオリジナルの無線通信規格「ELTRES」を利用したLPWA通信サービスです。

※LPWAの基礎知識について解説している記事はこちら

電源のとれない場所でも活用できるため、スマートシティ実現にマッチしたシステムでもあります。 ELTRES™ IoTネットワークサービスには、次のような特長があります。

  • 安定通信
    ノイズの多い都市部でも高感度な通信が可能
  • 長距離伝送
    100㎞の伝送を可能にした受信機を搭載
  • 低消費電力
    コイン電池1個で動作可能
  • 高速移動体対応
    時速100km以上の高速移動体にも対応
  • GNSS標準搭載
    GNSSの高精度な時間情報により高精度な通信を実現

ELTRES™ IoTネットワークサービスのスマートシティ実現に向けた活用例

富山県射水市では、地域問題解決のためにELTRES™ IoTネットワークサービスを導入しました。

射水市内30箇所の雨量や積雪量を簡単にモニタリングできるようになり、即時にこれらのデータを入手することが可能になり、市役所の方々の業務効率改善に貢献し、市役所の方々は、この情報を地域住民の方々の生活の利便性向上に役立てています。

今後は、気象庁の降雨データとの連携や、ゲリラ豪雨時の浸水状況をすみやかに把握・できるような対応を検討しています。

まとめ:多様化する生活に適したスマートシティ

スマートシティは、ICT技術を用いてそれらの多様な問題を解決し、人々が「住みやすい」と感じる街づくりを目指していくことを言います。都市で抱える問題は多種多様です。

暮らしに直結する構想だからこそ、いかに住民の理解を得て、プロジェクトを進めていくのかが成功の鍵となります。スマートシティ構想は、すでに各都市や地方で始まっており、この先、ますます発展を続けていくことでしょう。

ソニーネットワークコミュニケーションズでは、IoT技術を活用したシステム構築において多くのパートナー様と協業しており、お客様のご要望に合わせて最適なソリューションをご提案可能です。
システムを活用した防災対策について、お悩みやご相談したことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】

  • 物流:移動車輛の監視
  • 環境モニタリング:溜池の水位監視
  • インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
  • 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
  • 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
  • スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
  • IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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