Sony Network Communications Inc.

「農業をもっと楽しいものにしたい」
ELTRESで次世代に繋ぐ農業×IoT 2022.12.22 通信

ELTRESでは、センサーを用いた農作業の効率化・省人化を目指しています。
今回は秋田県、香川県での事例に続き、ELTRESを活用した稲作事例として福岡県遠賀郡岡垣町の株式会社モアグリーン 代表・丸内様、水元様にお話を伺いました。

【画像1】取材にご協力いただいた皆様・右から4人目が丸内様、2人目が水元様

温暖化や、従事者の高齢化が悩み

福岡における稲作での課題

まず秋田や高松と違う点は、温暖化によって近年夏場が非常に暑くなってきていることです。

この地域では台風やゲリラ豪雨などの被害も多く、それらの対策も十分に練らなくてはなりません。

また、全国的にも同じことが言えると思いますが、高齢化によって農業従事者が減少していること。

すなわち人員が少ないため、田んぼの管理(特に水管理) がなかなか行き届かなくなる恐れがあるのです。

その他、ジャンボタニシなどの害虫の被害に関しても、東北などと比較すると甚大だと思われます。

これらが福岡の稲作における、主な課題です。

「多くの人に農業の良さを知ってもらうきっかけになるかもしれない」

ELTRES冠水センサーとの出会い

上記の課題をなぜELTRESの冠水センサーで解決しようと考えたのか?

実は本件の担当であるソニーの嶽さんと私が幼馴染でして、「もし良かったらELTRESの冠水センサーを使ってみてくれないか?」と持ちかけられたのがきっかけでした。

ちょうど前項で述べたような、「水管理の難しさ」という課題に直面していたところで、タイミング的にも非常に良かったので、ELTRESを導入することにしたのです。

また、我々は今後の担い手に向けて、「農業を楽しいものにしたい」という思いがあります。

多くの方々に農業の良さを知ってもらう上で、その入り口としてIoT化を進める必要性を感じていましたし、加えて、その検証結果を本件を提案してくれた嶽さんに提供できるという点も決め手になった要因です。

冠水センサーを使った実証実験で分かったことは?

従来、この地域における田んぼの水管理は、毎日片道15分かけて田んぼを見に行って、問題ないかどうか確認して帰る、という方法のみでしたが、冠水センサーを導入したことで、週2回程度のチェックに削減できたので、浮いた時間を他の作業に充てられるようになりました。

また、今回冠水センサーを設置した田んぼは、水を貯める際、満杯になる目安がおおよそ3時間くらいなのですが、過去には、そのタイミングを見計らって水の溜まり具合を確認しに行ったら、何らかの事情で半分くらいしか溜まっていなかったので、また数時間したら見にいく、などというような、非常に効率の悪い作業を行わざるを得ないケースもありました。

しかし、ELTRESを設置したら、水が満杯になったことを知らせてくれるようになったので、その点もしっかりと改善できたと感じています。

加えて、稲刈りの前には、鍬などを使って田んぼの水を落とす作業を行うのですが、水位の異常をいち早くセンサーが知らせてくれたので、迅速に対応することができ、稲刈りの際に田んぼが乾き切っていない、という不測の事態を避けることができたのもELTRESのおかげです。

雨によってセンサーが誤作動することもありましたが、センサーにカバーを設置することで改善されました。冒頭でお話したように台風やゲリラ豪雨が多い地域なので安心して使えるように対応いただけて良かったです。

【画像2】冠水センサー設置の様子

【画像3】設置完了

ELTRES冠水センサーの効果

実証実験の結果・結局課題は解決できたのか?

今回センサーを設置した田んぼでは、上記のような成果があったため、十分なメリットを感じています。

水を入れる際だけでなく、水を抜く際にもきちんと水抜けできているか確認できて安心しました。

”水位が安定しない水管理の難しい田んぼ”や、”距離的にチェックしに行くのが手間になる田んぼ”など、センサーを設置するべき田んぼをしっかりと見極めるのが、費用対効果の側面からも重要なのではないか、と感じています。

また、河川から直接水を引く場合は、その河川の水位管理も含めて行う必要があると感じました。

冠水センサーの定量評価を今回実験した2か所で計算してみます。

1週間:1回の見回り0.5時間×7日=3.5時間
1か月:週3.5時間×8週=28時間
時給1,000円と仮定すると、
1,000円×28時間=2.8万円
また、水抜けによる雑草が発生した場合、除草剤が必要となり1反10ヘクタールあたり4,000円の費用が追加発生します。
つまり、最大で約3万円分のコスト削減に貢献しているのです。

ELTRESならではの良さは?

低消費電力で使える点だと思います。
冠水センサーの上部の電池交換が不要なのは忙しい農作業中の手間が省けて助かっています。

周囲の反応

周囲の農家の方が興味を示して、色々質問しに来てくれました。

特に若い世代の方々は農業に従事して行く上で先を見据えているため、このような装置の必要性を感じるのかもしれません。

高齢者にも訴求できると更に良いのですが、ベテランの方々はセンサーに頼らず、自分の目で確認したいと思われるケースが多く、なかなか難しいのが現状です。

年配の方が天候の悪い際に田んぼの見回りに行かなくて済むように、危険から守る意味でも、製品の良さが伝わると良いな、と感じました。

あと、センサーはそれなりに背が高く目立つので、子供にいたずらされないか、というのもやや懸念しているところです(笑)

また、センサーの導線部分が獣に引きちぎられる恐れもあるので、設置方法など、改良の提案があると更に有難いです。

【画像4】冠水センサーの高さ(防除作業に使用する機械に干渉しない高さが望まれる )

農業×IoTの今後の展望

農業のIT化が推進される上で、ELTRESには非常に期待しています。

例えば、現在は田んぼに対し、一つ一つ栓を開いて入水をしているわけですが、これをボタン一つで操作して、全ての田んぼに水を行き渡らせるなど、いずれはそういったことが実現できるような入り口として、ELTRESが活躍してくれれば、と農家の立場からも願っています。

農業のIT化によって若い人に「農業ってかっこいい」と思ってもらえたら、我々も非常に嬉しいですし、次世代に繋がっていく良いきっかけにもなるはずです。

また前項でも触れましたが、地域への責任感のもと、田んぼを守らなくては、という思いから、天候の悪い日に見回りを行い、不幸にも命を落とされる方があらゆる地域で少なからずいらっしゃいます。

そういった方々の無念をはらし、これから先はそのような不幸を起こさないようにするためにもぜひ、ITの恩恵を受けるべきだと感じています。

自治体などとも連携し、まずはELTRESが補助金の対象などにもなれば、農業の未来も明るいものになるのではないでしょうか?

【画像5】冠水センサーで水位監視中

※今回使用した冠水センサーの詳細は下記URLよりご確認ください。
https://eltres-iot.jp/work/solutionset-026/別ウィンドウで開きます

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】

  • 物流:移動車輛の監視
  • 環境モニタリング:溜池の水位監視
  • インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
  • 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
  • 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
  • スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
  • IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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