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水管理の負担を大幅削減、兼業農家が取り組むスマート農業の可能性 2023.12.15 通信

ELTRESでは、センサーを用いた農作業の効率化・省人化を目指しています。
今回は埼玉県さいたま市でサラリーマンと稲作農家という、兼業農家として農業に取り組む吉岡様ご夫妻に、ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを用いてスマート農業取り組みについてお話しを伺いました。
湛水センサーとは、水田の水位を監視できるセンサーです。

【画像1】湛水センサー設置後の様子。右から今年の湛水センサーを使用した農家の吉岡浩さん、吉岡鈴香さんとソニーの担当者マイケル ロックラン。

兼業農家、先端技術で新たな挑戦

浩さん
私は埼玉県さいたま市でサラリーマンと稲作農家を営む兼業農家として活動しています。
元々、この地域で400年ほど続く農家の家系でこれまで引き継がれてきたこともあって、幼い頃から米作りが生活の一部になっていました。
お米を食べたときに「美味しい」と一言もらえることにやりがいを感じ、これまで米作りを続けています。

鈴香さん
私はこれまで農業に関わってきたことはなく、結婚後に携わりました。
主人は稲作が生活の中で当たり前にあり、季節が巡ってくることと同じ感覚で取り組んでいました。私は農家の生まれではなかったので稲作に取り組み始めた当初はハードルも高く感じていましたが、取り組む中でだんだんと農業に慣れ親しむようになりました。
そのため、「農業」に対する考え方の根底がお互いで異なっていたという背景があります。
主人はこれまでに培ってきた方法、農業に対して固定概念が強く、私が稲作について新しい方法を提案しても「それはできない」と断られていました。
しかしインターネットで調べるうちに、IoTを活用した取り組み方法や、スマート農業で成功している農家さんの記事を読み知識を蓄え、少しずつ稲作の中に先端技術を取り入れるようになりました。

【画像2】トラクタを運転する吉岡浩さん

水管理の負担を大幅削減、兼業農家でも両立が可能

浩さん
稲作は植えてから刈り取るまでの数ヶ月は、本当に水との戦いになります。
水の管理は一番大切な工程になりますが、管理する田んぼも増えたことで、兼業をする中ですべての田んぼの状況を見て回ることが課題に感じていました。
また、水管理を行う時期は田んぼから離れることも出来ず、夏の時期なのに家族旅行にも行けないといった問題もありました。
しかし、幼い頃から農業と密接だったからこそ、「水を管理する時期は仕方ない」と思っていました。

【画像3】田植え直後に設置したBraveridge社が開発した湛水センサー。3つのセンサーで水位を感知し、変化がある時に無線のELTRESネットワーク回線を通して、LINE通知や電子メールで田んぼの水位状況を伝達する。

鈴香さん
主人は毎日の水管理をすることは苦に感じていませんでしたが、毎回田んぼまで向かい、仕事の合間を縫って時間を作り自分の目で見ないと気がすまないからこそ、「何か良い方法はないか?」と考えていたところ、インターネットでELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーのことを知り、さっそく稲作に取り入れることにしました。
これまでは主人の経験と勘に頼っていた水の管理が、センサーのデータを見て水量を確認できるため、定期的に田んぼを回らなくて済むようになり、「水を管理する時間」の工数を大幅に削減することができました。

浩さん
2023年は台風が多くて、水の管理が大変なこともありました。
私たちの田んぼの側に無農薬で農業を営んでいる農家がいて、台風の影響から水が溢れて肥料が隣の田んぼに行ってしまいそうなことがありました。
湛水センサーからの通知から田んぼの状況もリアルタイムに把握していたので、作業場からスコップを持参して田んぼに行って作業をすることでスムーズに対処が行えましたが、これまでは一度田んぼを自分の目で確かめてからスコップを持って作業を行っていました。
このように作業をする前に事前情報として田んぼの状況を知ることで、水の管理に対する時短と合わせて危機管理も行うことができました。

兼業農家だからこそ、効率化を追求

【画像4】水管理をしっかり行い、元気に育った稲と湛水センサー

鈴香さん
私たちは埼玉県という、稲作が盛んではない地域で取り組みを行っています。
またサラリーマンと稲作農家という「兼業農家」なので、専業農家に比べ稲作に取り組む時間が少ないです。
だからこそ、一つひとつの作業を効率的に行うことを常に考えています。

浩さん
スマート農業に取り組んだことで作業の効率化ができたことから、新たにドローンを使った農薬散布や幼児教室が主催となって田植え体験を行うなど、これまでにない新しい取り組みを行っています。

鈴香さん
地域の農家から「何をやっているの?」とスマート農業について質問を受けたり、農協から推薦を受けて表彰されることになるなど、新しい取り組みを率先して行うからこそ得られている知見や地域貢献が行えている実感があります。

スマート農業と収益事業を組み合わせ、農業の収益性を高める

浩さん
この辺りの地域で農業に携わる農家は高齢化が進み、後継者問題に悩まれています。
そのような状況なので、この辺り一帯の農業を請け負い、スマート農業を取り入れて乗り越えていきたいと考えています。
そうすることで、地域活性化や若い世代が農業に対して興味を持ち、新しく取り組む人が増える手助けをしていきたいです。

鈴香さん
私たちは田植え体験などのイベントを行うなかで、わらでしめ縄を作る体験といった「古き良き文化」も伝えています。
古き良きから学ぶことで新しいアイデアを生み出すこともできると思っているので、次の発展のためにも継承していきたいと思っています。

浩さん
今は、農業とサラリーマンを兼業して活動している状況です。
将来的にはスマート農業と収益事業を組み合わせ、農業の収益性を高めることで、農家として生活していきたいと思っています。
そのために、時間の効率化を進め、新しい取り組みに挑戦し、時代に合わせて変化をし続ける農家で在りたいと思います。

【画像5】収穫したお米と吉岡ご夫妻

ソニーのコメント

ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを採用した吉岡様のインタビューから

  • 田んぼの水管理作業の効率化ができた
  • 水が溢れる前に危機察知があり事前作業ができた
  • スマート農業へのハードルが下がり、後継者問題の解決のヒントに繋がった

などのお声を頂きました。
今回の湛水センサーはELTRESの低消費電力により数年間電池駆動ができ、安定した通信網により他の機械を介さずに直接インターネットに接続が可能です。水田に設置すればすぐに水田の水位の監視を開始できます。シンプルなセンサーの採用により安価なご提供価格の設定も魅力です。こちらの湛水センサーは、ELTRESパートナー企業であるBraveridge社より提供となります。

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】

  • 物流:移動車輛の監視
  • 環境モニタリング:溜池の水位監視
  • インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
  • 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
  • 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
  • スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
  • IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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