ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーで取得したデータを生産者同士が共有し、むかわ町の花栽培が進化 2024.01.09 通信
ELTRESでは、センサーを用いた農作業の効率化・省力化を目指しています。
今回は北海道勇払郡 胆振農業改良センターに勤める石川専門普及指導員とむかわ町で花の栽培を営む生産者へ、ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーを活用した取り組みについてお話しを伺いました。
ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーとは、ハウス内の温湿度、土壌水分、日射量、CO2などのセンサーデータをクラウドへ送信する端末です。
【画像1】石川専門普及指導員と、むかわ町で花の栽培を営む生産者の皆さま
技術向上で花栽培を活性化
石川専門普及指導員
北海道の胆振管内東部に位置するむかわ町は、秋のシシャモ漁や、ホウレンソウ、トマトといった野菜の産地としても知られる一次産業が盛んな地域です。
むかわ町は札幌市などの内陸地に比べ雪が少なく、冷涼な気候と長い日照時間、火山灰系の土質が多いため、花栽培に適していると言われていて、近年は市場の動向に対応してアルストロメリアを中心に全国各地に年間通じて出荷しています。
【画像2】環境センサー(中央)を活用して生産者をサポート
一次産業は高齢化や後継者不足などを理由に生産者の数も減ってきているなか、スマート農業の普及・拡大を行っています。
生産者が少ない環境でも生産量は求められるといった状況の中で、従来の栽培方法ではなく、新しい技術を取り入れていきたいと考えていました。
そこで、農業改良普及センターが中心となって地域を盛り上げるため、花の栽培に関する地域全体の技術向上を目指し、ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーを導入しました。
導入に際し、私たちが主導して生産者の方々へELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーの使い方や機器、センサー設置方法、パソコン・スマートフォン設定を行い、生産者の方々が疑問や問題があれば相談に乗れる体制を築き、新しい技術へ積極的に参加しやすい環境を整えるためにサポート体制を充実させました。
サポート体制が「最初の一歩」を支える
生産者の方々の声
元々、新しい技術を活用した花栽培に興味はありましたが、パソコン・スマートフォンに疎いため、センサーを設置する方法やデータを閲覧するための設定が難しそうと思い込んでいました。
そのため、これまでは新しい技術を敬遠していましたが、石川さんが主導してデータを閲覧するためにスマートフォンの設定方法をサポートしていただきました。
サポートをしていただけることで、ITに対する不安を取り除くことができましたし、ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーの設置は、誰でも簡単に行えるものだったため、新しい技術を活用する「最初の一歩」の負担が少なく、スムーズに取り組むことができました。
これまでは自分の経験や知識に頼って栽培をしていましたが、ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーによってハウス内の温度や湿度、CO2の状況がリアルタイムに正確なデータを取得できるようになって、栽培を効率的に取り組めています。
以前は一日に数回ハウスへ行って状況を確認する必要がありましたが、ELTRES導入後は、朝起きて最初にスマートフォンで通知を確認するだけでハウスの状況を把握することができるため、ハウスへ行く回数が減り、時間と労力を節約できるようになりました。
また本体にソーラーパネルが取り付けられるため、電源不要で動作することも設置場所を変更することや電源ケーブルの心配をしなくていいのでハウス内では扱いやすいです。
【画像3】スマートフォンからハウスの状況を確認する様子
データ共有で新規就農者の壁も低く、地域全体で活性化
石川専門普及指導員
元々、むかわ町の生産者は横のつながりも強く、自然な流れからELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーで取得したデータを地域全体で共有しています。
むかわ町のアルストロメリアは道内でも作付面積が一番大きく、年間通じて安定した品質で出荷することが求められるため、温度や湿度、CO2といった数値をデータ共有することで、品質管理や作業効率化につながることを期待しています。
【画像4】リアルタイムデータを確認する石川専門普及指導員
生産者の方々の声
ELTRESの導入によって、生産者である私たちの花の栽培に対する取り組み方も変化していると感じます。
ハウス栽培は天候変動などの影響は受けにくくはありますが、ヒートアイランド現象、地球温暖化の影響から、これまでと比較すると通年で気温が高い日が増えています。
ハウス内は天気の影響を受けにくいとはいえ、日当たりや方角によって環境は異なるため、花の生育や品質に差が生じることはあります。
測定データを専用サイトから閲覧できることで、リアルタイムにハウスの状況を確認し、過去データを閲覧できることで、温度の変化などこれまでは感覚で培ってきた部分を数値化してわかることで、品質向上につながると考えます。
むかわ町のブランド価値を落とさないため、地域で新しい技術を活用した栽培に取り組んでいきたいです。
石川専門普及指導員
ELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーで取得したデータを共有して生産者が誰でも閲覧できることで、新規就農者の心理的なハードルも下がると考えています。
新規に始める場合、花の栽培を行う過程でわからないことが多いと思いますが、生産者が残した過去データが見られるからこそわからないことに気づき、品質向上にも役立つと思います。
むかわ町の花を新しい世代へ受け継いでもらうため生産者にデータ活用を勧め、地域全体で底上げを行って状況にあわせて栽培方法を変化させ続けるために、今後も積極的に新しい取り組みへ挑戦します。
ソニーのコメント
花の栽培にELTRESネットワーク回線を導入し、地域への普及に取り組んでいる胆振農業改良普及センター 石川専門普及指導員。
今回のインタビューではユーザーである生産者から以下のお声を頂きました。
- みんなでデータを見られるので、情報交換が自然に進んでいる
- 自分の感覚よりハウス内の環境が正確に把握できるようになった
- 機器やセンサーの設置が簡単だった
- スマートフォンで見るのは、このデータと孫の写真のみ
- 本体にソーラーパネルが付けられるので電源が不要でハウス内の取り扱いがしやすい
- 温度や湿度などの正確なデータを取得できることで、安心ができ、ハウスへ行く回数を減らすことができた
また、指導員の石川様からは以下のお言葉を頂きました
- 部会全ての農家への導入を検討していきたい
- ほ場ごとの適正な土壌水分を把握したい
- 導入しているハウスとしていないハウスとの比較など、効果の定量化も進めていく
利用いただいているELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーは、ソーラーパネル、蓄電池、防水ケースを一体化し、測定からクラウドへのデータ送信まで、本機のみで行うことが可能です。
測定したデータをELTRES IoTネットワーク回線でクラウド上のサーバーに送信し、測定データを管理することで、遠隔地でもパソコン・スマートフォンから測定データをいつでも確認できるようになります。
また、クラウドサーバーは設定された閾値にもとづき警報メールを送信することができます。例えば、ハウスの加温機器の誤動作や故障の発生時など、温度の変化を察知して、お知らせすることができ、冗長管理が可能です。
こちらのELTRES IoTネットワーク回線を活用した環境センサーは、ELTRESパートナー企業であるスマートロジック株式会社より提供となります。
最後に
ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。
【活用例】
- 物流:移動車輛の監視
- 環境モニタリング:溜池の水位監視
- インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
- 農業・畜産:放牧牛のトラッキング
- 人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
- スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
- IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等
「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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